2009年5月11日

『「お通しは」はなぜ必ず出るのか』という本はなぜ出るのか。

ジュニアです。

僕が飲食業の面白さを学び、TABLESKAPE結成の場ともなったスクーリングパッドの代表もやられている子安さんが、本を出版されました。

その名もずばり『「お通しはなぜ必ず出るのか」』です!

しかも、「バカの壁」や「人は見た目が9割」といったキャッチーなタイトルで毎回すごい売上と賛否両論をたたき出す新潮新書からです。

今回もタイトルからして「おや?」と思わせる感じですね。さすがにうまい。

子安さんはとても論理的で冷静な人(酔っ払っているとき以外)という印象なのですが、きっとこの本もそんな感じで、一般の人にとってはわかりくいところもある飲食業界のユニークな話から始まって、飲食業界以外の人でも参考になるビジネス的な発見なんかもわかりやすく書いてあるはずです。(期待)

本のオフィシャルな紹介はこんな感じです。
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飲食店には製造、小売、サービス、流通等、あらゆる要素が詰まっています。
その市場規模の大きさや歴史の長さまで考えれば、飲食業は
「ビジネスの原点」であり、「ビジネスの象徴」と言うことができるのです。
飲食店は本当に儲かるか?立ち飲みが流行り、ジンギスカンが廃れた理由は?
潰れる飲食店のパターンは?ITの影響で飲食店は何が変わる?
多くの具体的な事例を分析していくことで、飲食業界の今と未来が見えてきました。
業界に身を置く人はもちろんのこと、グルメに興味のある人や
多くのビジネスマンにとって、知的好奇心を満たす情報が満載の一冊です。
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いわゆる店舗を持った飲食というのはビジネス的な観点から見てもとても面白いです。ちょっと考えるだけでも、

①完全なるBtoCビジネスである
 お客さんからのリアクションが表情や言葉にダイレクトにそのまま伝わってくるため、ごまかしが効かない。他の業種に比べれば客単価も高くはないため、質の良い商品の提供と多くのお客さんの心をつかまえる、という両方の作業が必要になる。
 
②提供するサービスの質の標準化が極めて困難である
 いくら料理の味がよくてもサービスが悪ければお客さんは来なくなるし、サービスはいくらマニュアル化しても属人的な要素が強いので、長期間にわたって平均化することが他の業種に比べて難しい。
 また、質を固定化してブランドをつくりあげたとしても、店舗ごと、立地ごと、時間帯ごと、曜日ごと、時代ごとによってお客さんの求めるものが変わるため、柔軟性が必要になる。

③お客さんと一緒につくっていくビジネスである
 当然だが、お客さんがお店に「いる」ことでビジネスになるので、そのお客さんがお店の雰囲気をつくっていく。物販系のお店だとお客さんが店にいる時間は短いが、飲食だと下手したら同じお客さんがずっといたりするので、それが店に与える影響は大きい。なので、お客さんと上手に付き合う必要がある。

④ライブのビジネスである
 「今日このお店に何人客が来るのか」「どういう人が来るのか」という需要が、店を開けてみないとわからない。しかもそういう人たちが何を求めているのかも、時間が経たないとわからない。(モノを買う場合は、もっとシンプルで、みんな自分の希望がわかって買っているケースがほとんどだけど、飲食店の場合はなんとなく入ってみて後から考える、というケースも多いはず)。だからロスの逓減率は通常のビジネスより低いし、席数によるキャパシティが決まっているので売上の最大値も見えている。でも、毎日がライブというビジネスは、この世にそんなにたくさんはない。

 などなど、その魅力はたくさんあります。

 一方で、成功のための変数が多すぎて、「なんでかはよくわからないけど、結果的にあそこは成功したよね」と後付けで言われることが多い業界なのではないかとも思います。

 でも、ビジネスである以上、成功や失敗には理由がある。しかも、その成功の理由は、他の業界でも応用できるものであるはずである。

 だから、この先行きが不透明な時代に、こういう本が求められるんじゃないかな、と僕個人としては思います。

 発売日は5/18ですが、14日から書店に並ぶようです。

 皆さんも是非手に取ってみてください!

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